立憲民主党、ジェンダー平等にどれくらい本気ですか?立憲民主党、ジェンダー平等にどれくらい本気ですか?

コロナ禍で浮き彫りになった日本社会におけるジェンダー不平等。閉塞した今の社会の転換を推し進めるためにも、ジェンダー意識改革は待ったなしの状況です。「ジェンダー平等推進」を綱領に掲げる政党として、直面する課題にどう取り組んでいくのか。今回、党改革に向け、ジェンダー平等推進本部の本部長に就任した枝野幸男代表と辻元副代表が語り合いました。

ジェンダー平等視点を
党運営や政策立案に

枝野)立憲民主党は綱領に「ジェンダー平等の推進」を掲げてきましたが、それが党全体として共有されていなかったために、残念な問題が起きてしまいました。このことを深く反省し、今後はそれぞれがより強い意識を持って世界の流れや現実、実態に合わせてアップデートしていく必要があります。

加えて、政治分野で女性参画を進めるにあたって、女性候補を発掘し、選挙活動を支援し、勝利を後押ししていく。そのために党としてさまざまな壁を乗り越えられる体制を整えていきたいと思っています。私が代表になることで、より強力かつ直接的にジェンダー平等の視点を党運営、あるいは政策立案に反映させていく決意です。

――自ら変わっていく姿を見せる

枝野)党全体として強く意識して取り組む必要があるという意味では、私の地元も辻元さんの地元も、女性の自治体議員が多い。つまり強く意識すれば改革は進むはずなんです。女性の自治体議員が多い地域ではそのネットワークを生かし、国政候補者のリクルートもうまく機能していきます。

辻元)男性の自治体議員ばかりだと、NPOなど地域で頑張って活動している女性との接点がなかなかありません。女性の立候補者が出てきても文化になじめず続かない。私たちはかなり意識をして自治体議員も含めて女性の候補者を増やそうと努力していますが、全国的に見るとまだまだ遅れています。国会だけを変えようとしてもダメで、地域から変えていく。そのためには党の意思決定に関与する執行役員に女性を増やしていかないといけない。これは党本部の職員も同じです。まずは党内のジェンダー平等を強力に進めていかないとあかんと思っています。自ら変わっていく姿を見せることで、世の中の人たちに「本気だな」と分かってもらいたい。枝野代表には、しっかりと変わった姿を見せられるよう、選挙に臨んでもらいたいです。

――ジェンダー平等は社会の幸福のために必要

辻元)今では女性議員が全体の3分の1以上いる国でも、昔は少なかったわけです。高度成長時代はどの国も男性が働き、女性が家で子育てをして支えるという社会モデルでしたが、そこから転換して多様な生き方を認める、人権意識、ジェンダー平等が進んでいったのだと思います。ところが日本はいまだに社会的なモデルチェンジができないまま、昭和の高度成長の成功体験に縛られたまま、すべての制度、税金の配分などがおこなわれています。

今、世界では180カ国の国や地域でクオータ制を導入していますが、これはジェンダー平等、人権の観点からだけではない。実利的な面も含めてモデルチェンジをして女性議員を増やして男女共同参画の社会を作ることにより、経済も成長する、幸福度も高くなることがさまざまな研究からも明らかになっています。

日本とデンマークの経済社会資本の統計を比較すると、女性議員の比率が高い国は投票率、政治への信頼度、報道の自由度、幸福度、自然エネルギー比率が高い。一方で腐敗認識指数は低いといった特徴があることが分かっています。ジェンダーは、社会がモデルチェンジをしていく1つの大きなカギになっていると思います。

――女性が覚醒「自分たちの方が正しかった」

辻元)「選択的夫婦別姓」も女性だけの問題にしてはいけない。男性こそ旗を振って実現しないとあかん」とずっと言ってきました。女性の姓に変える男性もいるわけですから、お互いの名前を選択できることは男性の自由も保障するものです。

枝野)政治の世界では長らく「ジェンダー平等」を語ることが選挙に不利になる状況が続いていました。立憲民主党の公約に「選択的夫婦別姓の実現」を堂々と書けるようになったのは、この5年くらいで明らかに社会が大きく変わっているからです。世間でも(選択的夫婦別姓の導入が)当然だという声が広がっています。

辻元)ネガティブキャンペーンをやる方が少数派になった。

枝野)そう。それは明らかに変わっている。そういう意味では希望は大きくなっています。

辻元)街頭演説をやっていての感触ですが、ここ1カ月くらい20代、30代の人が立ち止まって聞いてくれたり、高校生の女子がビラを受け取ってくれることが増えている。「あれ、今日もそんなことあったわ」という日が続いていて、私は女子の「覚醒」だと思っています。世界中で広がった#MeToo運動や日本でいくつもの性暴力の無罪判決を受けて始まったフラワーデモ、女子入試差別、森喜朗さんの女性差別発言などをきっかけに、自分たちがおかしいなと思っていたこと、我慢してきたことが国際基準から見たら自分たちの方が正しかったとのではないかと気づいたのだと感じています。

――誰にもマイノリティの側面がある

辻元)政治家というと、特に女性の場合は仕事と子育ての両立が難しいとか、個人の生活を捨てなければなれないというイメージを持っている人が多いと思いますが、それを克服するようなロールモデルも徐々に出てきています。子育てをしながら、あるいは個人としての生き方を追求しながら、政治家としても仕事ができるロールモデルをどんどん増やしていきたいです。

枝野)誰もがマイノリティの側面を持っていて、それを意識することが人権問題の出発点だと思っています。「マイノリティの問題」とされることは、実はマジョリティの問題であることが多いのです。あらゆるテーマで常にマジョリティだという人は一人もいないと思います。あらゆる課題にみんながこういう発想になればジェンダー平等の問題をはじめとして、当事者意識をもって考えていくことにつながる。そうした意識を多くの人と共有しながらジェンダー平等改革を進めていきます。

辻元)最後に、枝野政権では閣僚男女同数をめざしてほしい、と要望を申し上げておきます。

枝野)しっかりと受け止めます。